大学時代に習ったフレームワークです。
背景
(この当時は、緑のベストを来た駐車監視員はいませんでした)
あなたは市の交通の問題を担当する職員です。
- 駅周辺の住民が、路上駐車に悩んでいる。
- 1人が長い時間止めないが、駅周辺に車で来て用事を済ませる人が多いので、昼間はたえず路上駐車がある。
- 駅前に大型の駐車場はない。
あなたなら、どう解決しますか?
多くの人は、まず現状調査をするでしょう。
路上駐車する人に聞いてみます。「なぜ、路上駐車するのですか」と
その答えが、「駅前に駐車場があるが、既に満車である。仕方なく路上駐車している」
実際に駅前の駐車場は、満車です。それを、駐車場を新たに増設すれば路上駐車も減ると短絡的に答えを出してはいけません。その一つの仮説だけで、予算はどれくらいかかるのか、建設場所の確保はどうするのか、更に時間をかけてリサーチしてはいけません。
その仮説が実現可能かをリサーチや検証するのは良いことですが、その前に、広く他の案を検討することが必要です。
今回のケースについて、実際にあった話のようで、駅前に駐車場を増設したら、路上駐車が更に増えてしまったと、授業では紹介されていました。
なぜなら、”駅前に駐車場が増設されたことで、今まで以上に、車で駅前に来る人が増えてしまった。増設されたスペースも満車になり、路上駐車が減少するどころか、増加してまった”そのような事が起こったのです。
企業のライフサイクルがあるように、政策や施策された事象にもライフサイクルがあります。
今回は、路上駐車問題を解決する為に、駐車スペースを増やす施策を行いました。少しの間は、路上駐車が改善されましたが、時間の経過で駐車場の認知度が上がり、交通量の増加と更なる路上駐車を引き起こしました。
今回のことで言えば、以下が必要だったことになります。
- 駐車場の増設以外の案を考えること
- 駐車場を増設した後の経過、影響を考えること
- 選択する施策の後で解決できなかった場合のことを考えること
1.については、特定のエリアで駐車の取り締まりを強化する、市で管理している駐車場の料金を上げる、または、最大で1時間以内の駐車に限定する等あります。
2.については前述した、時間の経過で駐車場の認知度が上がると、今まで車の利用を控えていた人達の行動に変化が起きる可能性です。
3.に関しては、駐車スペースは有限であることも考慮するべきでしょう。駐車スペースに空きがあるにも関わらず、路上駐車するのであれば取り締まりを強化することが必要です。
また、他の事例で言えば、十分な席数を用意したパーティーであっても、席が足らなくなったらどうするのか、入場制限をするのか、それとも、席を案内すると時、子供やご年配の方を優先することを伝えて、席が足らなくなれば、立食でお願いをするなど、予め考えておくことが必要です。
2018年の現在は、ショッピングセンター等の大型商業施設が身近にあり、それらが出来ると周辺の交通量が増え、住人の生活に影響が出ることは皆すぐに予想できるでしょう。今回のような短絡的な回答は誰もしない思いますが、20年前だった当時、問題解決の為の施策が、更に問題を起こした事例を知って驚きました。
直接の効果以外に、かならずその多方面にわたる波及効果を予測しないといけない、社会に出てお客様のニーズや課題を解決する上で、私の重要なフレームワークの一つになりました。
以上は、吉田民人(よしだ たみと)先生のゼミナール基本法の事例になります。
第7条 どんな事柄も、その直接の効果以外に、かならずその多方面にわたる波及効果に鋭敏であるという「システム論的思考」を身につけよう。
吉田ゼミナール基本法13条